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欧州M&A最前線 2017年8月

25 August 2017. Published by Nigel Collins, Partner, Head of Japan Desk

シンガポール、ハノイ、香港、東京を巡る出張から帰ってきた。クライアントや知人などいろんな人に会ったのだが、会えなかった人がいるのもいつものこと。こんな調子なので、さっそく次の出張の計画を立てた方がいいだろうか。

英国に戻ったら、休暇を取っているスタッフも多く、この時期オフィスや金融街シティーは静かである。その一方で、8月こそせっせと働いて、年末に向けて立て込んでくる秋を乗り切るための準備をしておく時だと考える人もいる。

せっせと働くと言えば、最近読んだマルコム・グラッドウェルの『天才!成功する人々の法則』にこんなことが書いてあった。グラッドウェルはアジアのコメ農家の勤労ぶりについて考察しているのだが、コメを作るには他のどんな農作業者よりも 働かなければならないそうだ。稲を育てようと思えば、完璧主義でなくてはならず、いつも油断なく目を光らせている必要がある。旅行に行く暇などなく、来る日も来る日も朝から晩まで働く。その代わり田んぼは、最高の状態にしようと作業者が頑張るほど豊かな実りで応えてくれる。アジアの稲作農家の平均作業量は年間3,000時間に及ぶという試算もある。

コメ作りは容易ではなく、ただならぬ献身と問題解決能力を必要とする反面、その努力は必ず報われる。コメを作るためには仕事に打ち込む覚悟を持たねばならないが、アジアの農村に伝わることわざではこのことが強調されている。アジアの歴史の中で培われたことわざの教えは詰まるところ、「働き者は良い暮らしができる」「忍耐こそが鍵」「犠牲は不可欠」という考え方に立ち返る。

この勤勉第一の考え方は、必然的にアジアの教育制度にも反映されていて、米国の学校では授業日数は平均して年間180日であるのに対して、日本は243日ほどだとグラッドウェルは言う。西洋の農耕はというと、畑を酷使した後は休ませて回復を待つというのがその基本で、西洋諸国でことわざの教えの多くが「一生懸命働いた後に休め」という考えに基づいているのはそのためだ。これが教育制度に表れた結果、子供にとっては授業日が少なく、何かを犠牲にすることもあまりなく、学校の休みが長くなったのだそうだ。

日本企業が、M&A(企業の合併・買収)成立後の統合プロセスであるPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)で課題となる側面を想定する際には、この違いを覚えておくといいだろう。

夏季休暇時期に入る前に気になったいくつかの取引を紹介する。

  • パーク24(東京都千代田区)と日本政策投資銀行(DBJ)が、英国の同業最大手ナショナル・カー・パークス(NCP)を買収した。欧州での存在感を強化するための戦略的買収だ。NCPは、第2次世界大戦直後にロンドンのホルボーン地区の爆撃跡に投資することで産声を上げた英国の大手企業。
  • 日本生命保険相互会社は、トルコのインフラ開発プロジェクトの一環である大規模な病院施設の開発管理事業に融資するシンジケートローン契約に調印した。融資額は175億円。同社の新たなストラクチャードファイナンス部門にとって華々しいデビューとなった。
  • 味の素は、仏冷凍食品会社ラベリ・テレトル・スージェレ(Labeyrie Traiteur Surgeles、LTS)を買収すると発表した。欧州における消費者向け食品事業を強化し、北米と欧州のアジア系冷凍食品市場でトップになるための成長を加速させる計画の一環。

筆者には夏休みはなく、どうやらアジア流の仕事のやり方に染まったらしい。ただし英国は28日が祭日で週末が3連休となるので、剣道をする時間はたっぷりある。

 Originally published by NNA in August 2017

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