Sunrise/sunset of entrance of the RPC building.

欧州M&A最前線 2018年1月

09 January 2018. Published by Nigel Collins, Partner, Head of Japan Desk

寒さ厳しい東京で、この記事を執筆している。幸い気温は低くても東京の雰囲気は温かい。

保険部門の同僚が、2018年に保険業界で予想される10大トピックスを公表した。非常に興味深い内容なので紹介する。

寒さ厳しい東京で、この記事を執筆している。幸い気温は低くても東京の雰囲気は温かい。

保険部門の同僚が、2018年に保険業界で予想される10大トピックスを公表した。非常に興味深い内容なので紹介する。

  1. 身代金要求型ウイルス「ランサムウエア」と、新たに導入される欧州連合(EU)「一般データ保護規則(GDPR)」に基づく罰金のリスク。データ漏えいのコストが莫大化する恐れがあるだけに、今年は保険会社の多くにとって、ランサムウエアをはじめとするサイバー上の脅威が重大問題となりそうだ。データ漏えいの報告が遅れた場合、被保険者と保険会社の両方の損失が増す上、GDPRの施行後はデータ処理者に高額の罰金が科される恐れがあり、さらに負担が大きくなる。
  2. 「金曜午後の詐欺」の標的が会計事務所へと移り、被害が拡大する。この詐欺は、不動産売買が成立する金曜の午後を狙い、盗んだデータを元に顧客からの支払いを横取りするもので、これまで法律事務所が標的となってきた。しかし、法律事務所がサイバーセキュリティーを強化し支払い手続きの安全性を確保する中、今度は会計事務所が狙われているようだ。2018年は会計事務所もサイバーセキュリティーや詐欺防止にますます取り組む必要がある。
  3. ブロックチェーンによる国際詐欺の減少。保険会社を含めて、国際取引のほぼ全ての当事者が、製品販売に伴うコストとリスクを引き下げるためブロックチェーンに目を向けている。
  4. 無人運航で安全性は向上するが、保険会社はどのようにして先進技術に追いつくのか。海上保険の請求の大半は人的ミスが原因のため、企業は洋上無人探査機(ASV)の導入による安全性の向上と損失の低減を狙っている。ただ、ASVの導入には、陸上への送信データがハッキングされるといった独特のサイバーリスクが伴う。保険業界は、先進技術を確実に保険でカバーするという大きな課題に直面している。
  5. 「企業秘密指令」導入で、機密情報を巡る保険請求の増加傾向が続く。EU加盟各国は、2018年6月9日までにこの指令を国内法化する必要がある。英国ではこれにより初めて「企業秘密」の法律上の定義が導入される。
  6. 「キャットボンド(大災害債券)」市場の拡大――テクノロジーによるリスク評価の改善。2018年は債権の表面利率が上昇し、保険会社の投資資金が増加するだろう。この結果、ドローン小型無人機)や衛星画像、センサーといった技術の利用が拡大する可能性が高い。
  7. 医療過誤保険市場に一大変革が起きる可能性。GP(一般家庭医)に対する医療過誤の損害賠償請求が政府の支援によりカバーされるようになれば、医療過誤保険に重大な影響が及ぶ可能性がある。保険料の上昇を理由に離職するGPの増加を食い止めようとするこの試みは、問題の大きさを物語っている。
  8. 年金が規制の焦点に。年金の移し替えは今年既に、英金融行為規制機構(FCA)の最優先課題として復活しつつある。年金の自由化により、最終勤務先の企業年金からの移し替え要請が増えており、年金積立金残高が3万ポンド以上の場合には、移し替えのアドバイスも必要となる。
  9. 故殺罪の刑罰が厳格化され、保険へのニーズも変わってくる。2017年には法人故殺罪法に基づく立件数が増加し、7月には同法に基づく過去最高の120万ポンドの罰金が科されている。
  10. インシュアテックの台頭。昨年は保険業界のインシュアテックに対する姿勢に大きな変化が見られたが(2017年上半期の国内のインシュアテック投資は前年比2,500%増加)、インシュアテックはまだまだ進化の過程にある。とは言え、データ利用に関する限り、新規制の導入は脅威であると同時にチャンスも生み出す。

    今月の興味深い取引をいくつか紹介する。
  • ルノー・日産・三菱自動車連合が10億ドルのベンチャーキャピタル(VC)・ファンドを設立。車両の電動化や自動運転システム、コネクティビティー、人工知能(AI)などの新モビリティー技術に投資する計画で、米シリコンバレーとパリ、横浜、北京に拠点を置く。
  • NECは、英ITサービスのノースゲート・パブリック・サービシズ(NPS)を買収した。
    これは、私が最初から最後までよく知っている取引で、非常に短期間で成立した。
  • 伊藤忠商事は、一般家庭向け蓄電池ソリューション事業を展開する英ベンチャー企業モイクサ(Moixa)と資本・業務提携した。これは、私がアドバイザーを務めた取引だ。この投資により、モイクサはプラットフォーム技術ソフトウエア「グリッドシェア(GridShare)」を急成長している日本のバッテリー市場で発売できる。グリッドシェアは家庭用蓄電システムの管理と最適化を行うソフトウエア。実績あるソフトを既存のハードに組み込む伊藤忠のやり方は懸命だ。

東京では数週間にわたり、多くの興味深いミーティングに参加し、先生や愛宕警察署道場の皆さんと剣道に励んだ。この後は香港から、温かいシンガポールに向かう予定だ。

Originally published by NNA in January 2018

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