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Mergers and Acquisitions Update June 2019

06 June 2019. Published by Nigel Collins, Partner, Head of Japan Desk

Originally published by NNA (https://europe.nna.jp/) in June 2019

小売分野の取引で業界をけん引する当法律事務所は、変化と競争の激しいこの分野の事業に影響を及ぼす主な法改正や政策変更について、総合的な手引きをまとめている。以下は、当事務所の発行する「リテール·コンパス2019年夏号」 に掲載されたさまざまな話題の概要だ。詳細については、https://www.rpc.co.uk/ perspectives/retail-therapy/retail-compass-summer-edition-2019を参照されたい。

■法律・政策の主な展開

2019年6月10日:欧州連合(EU)の改正株主権利指令が英国で施行。同指令は、株主の長期にわたる投資ならびに企業と投資家の間の透明性を促すことを目的とする。

2019年6月14日:広告における性別に基づいた有害な性別ステレオタイプを禁止する新規則。英広告基準審査委員会(ASA)と広告慣行委員会(CAP)が、 あらゆる広告において有害な性差のステレオタイプを禁止するルールを導入した。

2019年7月16日:英スチュワードシップ·コードの改正案発表。企業会計を監視する財務報告評議会(FRC)は、スチュワードシップ·コードの改正を予定している。スチュワードシップ·コードとは、機関投資家全般に有効なスチュワー ドシップ基準を定めたもので、投資対象企業への関与について行動規範の原則を打ち出すものだ。

2019年9月14日:多くのオンライン取引で2段階認証が義務化。EUの決済サー ビス指令の改正により、小売取引を含む認可されたオンライン取引で2段階認証が義務付けられる。

2019年10月1日:建設サービスにかかるVAT(付加価値税)のリバースチャー ジに関する法制定。一部の建設サービスおよび資材は、供給企業によるVATの 納付回避を防止するため、申告·納税義務を顧客に移すリバースチャージの対象となる。

2019年10月:「税のデジタル化」計画が始動。英政府が税のデジタル化の展開に着手する。これにより、一部企業はVATの記録·申告のデジタル化を義務付けられる。

2019年10月31日:英国のEU離脱――英国の現行のEU離脱期限は2019年10月31 日、移行期間は2020年12月31日までとなっている。

2019年11月30日:ドローン(小型無人機)操縦者の登録と適性検査の義務付け。 英民間航空局(CAA)は、ドローン操縦者の登録と適性検査を導入する予定だ。

2019年12月9日:上級管理職および認証レジームの適用拡大。英金融行為規制機構(FCA)の認可を受けている小売企業は、「上級管理職および認証レジーム (SM&CR)」と呼ばれる個人の説明責任や行為に関する制度を順守する必要がある。

2019年12月31日:EU指令に基づく国境を超えた租税計画の開示。EU指令により、国を超えた租税計画の策定に関わる者は、加盟国の税当局にこれを報告する義務を負う。
 

■日本企業の注目すべき取引(6月)

  • コニカミノルタが自動車生産における品質検査自動化システムを手掛けるスペイ
  • ンのエイネス(Eines)·システムズを買収した。自動車の外観計測事業の立ち上げを加速する狙いだ。
  • 丸紅は、アフリカの未電化地域でソーラーホームシステム販売事業(SHS)を手掛ける英国のアズーリ(Azuri)·テクノロジーズに出資すると発表した。アズ ー リは、太陽光パネルや蓄電池、発光ダイオード(LED)照明、ラジオ、テレビ、衛星放送約60チャンネルの視聴権一式を販売する.

NTTドコモ·ベンチャーズ(東京都港区)は自社ファンドを通じて、英国のベンチャー企業リアライズ(Realeyes)に出資した。リアライズは、コンピュータ
ビジョンと機械学習を利用して、動画を見た視聴者の表情から感情を測定するソリューションを提供する。

私生活面では、ポーランド南部の美しい古都クラクフ(Krakow)を訪れた。近郊のアウシュビッツ·ビルケナウ強制収容所の見学は、心痛くも興味深い体験となった。クラクフの旧市街は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産となっており、是非とも訪れる価値がある。中でも聖マリア教会は美しい。